社内異動でAI活用担当になる方法 — 転職せずにキャリアチェンジする社内での動き方
- 非エンジニアが社内異動でAI活用担当になる近道は、独自ガイドの目安として自部門の業務で生成AIツールを2〜3個試し小さな実績を先に作ることだと僕は考えている。
- 社内公募が出る前の半年ほど前から動き始める人ほど選ばれやすく、独自ガイドの目安では公募開始後に手を挙げるのはやや遅いタイミングだと感じている。
- 異動直後の3か月は評価されにくいケースが多く、独自ガイドの目安として半年は下積み期間と捉えて動く方が結果的にうまくいきやすい。
「うちの会社、AI活用担当を社内で探してるらしいんですけど、どうやったら手を挙げられるんですか?」
数か月前、キャリア相談に来られた30代の方から、こう聞かれました。転職ではなく、今いる会社の中でAI活用の仕事に移りたい、という相談です。実はこの手の相談、最近かなり増えていると個人的には感じています。結論を先に言うと、社内異動でAI活用担当になる道は十分にありますし、僕の体感値で言うと、むしろ転職より近道になっているケースも珍しくありません。ただしそこには、いくつかの見極めるべきサインと、伝え方の型があります。今日はその中身を、できるだけ具体的に整理してみたいと思います。
0. 結論:転職しなくてもAI活用担当になれる、社内異動という抜け道
先に結論から書きます。AI活用担当というポジションは、多くの企業でまだ「明確な採用要件」が定まっていません。だからこそ、外から転職で入るより、社内で「この人にAIのことを任せてみよう」と思われた人が、なんとなく異動でそのポジションに収まっていく、というパターンが実際には多いと僕は見ています。求人サイトに載る前に社内で決まっている椅子、というイメージです。
これは裏を返せば、外部からの転職市場に出てくる前に、社内で先に動いた人がその椅子を取ってしまう、ということでもあります。転職エージェントに登録して情報を待つより、今の会社の中の空気を読む方が、実は近道になっている。これが今日お伝えしたい一番のポイントです。
1. なぜ今、社内でAI活用担当のポジションが生まれているのか
まず背景を整理しておきます。IPA(情報処理推進機構)が公表している「DX白書2023」では、DX人材の「量」について「確保できている」と回答した企業は、日本では1割に届かない水準だったと報告されています。米国企業と比べても明確に低い数値で、この人材不足感は生成AIの普及によってさらに強まっていると個人的には感じています。厚生労働省の労働経済動向調査でも、情報関連・専門技術職の人手不足感は他職種に比べて高い水準で推移する傾向が続いています。
この「量が足りない」という状況は、実は皮肉なことに、外部からの中途採用より社内異動の方が解決しやすいという側面があります。なぜかというと、AI活用担当に本当に必要なのは、AIツールの使い方そのものより「自社の業務のどこにAIを当てはめれば効果が出るか」を見抜く力だからです。この力は、その会社にいた年数が長いほど強くなります。つまり、社内にいる人の方が、実はAI活用担当に向いている可能性が高いのです。
僕がこれまで見てきた範囲でも、情シス部門やDX推進室が新設されるとき、真っ先に声がかかるのは外部の中途候補者ではなく、社内で「あの人、業務のこと詳しいし最近AIツールも使いこなしてるらしい」と噂になっている人でした。ポジションが正式に公募される前に、内々でオファーが決まっているケースも、僕の体感値では少なくないと感じています。
2. 手を挙げる前に見ておくべき3つのサイン
とはいえ、どのタイミングで動くべきかは、会社によって違います。僕が相談を受けるときに必ず確認する、社内のサインを3つ挙げてみます。
- ①経営層や部門長が全社会議で「生成AI」「業務効率化」という言葉を口にする回数が増えている
- ②情シスやDX推進室が、業務部門向けにAIツールの説明会やアンケートを実施し始めている
- ③既に一部の部署で、誰かが個人的に生成AIを使って業務改善の成果を出し、それが社内で話題になっている
これら3つのうち、2つ以上が揃っている会社では、独自ガイドの目安として半年以内にAI活用の専任ポジションが社内で作られる可能性が高いと感じています。逆に、まだ経営層が「生成AI」という言葉自体をあまり口にしていない段階だと、動くのはまだ早いかもしれません。焦って手を挙げても、受け皿になるポジションがまだ存在しないからです。
身近な比喩で言うと、これは畑に種をまく前の土づくりのようなものだと僕は思っています。土がまだ乾いたままの状態で種をまいても芽は出ません。会社の中に「AI活用が必要だ」という空気ができてきたタイミングを見極めて、そこに合わせて動くことが大事だと考えています。
3. 実際にどう手を挙げるか — 伝え方のパターン3つ
サインを見極めたら、次は実際の動き方です。僕が見てきた中で、うまくいっているパターンは大きく3つに分かれます。
パターンA:小さな実績を先に作ってから伝える
これが一番成功率が高いと僕は感じています。自分の今の業務の中で、生成AIツールを使って何か一つ改善した実例を作り、その結果を簡単な資料にまとめておく。異動を願い出るときに「実はこんな成果が出ました」と見せられると、上司も判断しやすくなります。口約束だけの異動希望より、圧倒的に通りやすいと感じています。
パターンB:1on1や雑談の場で興味を伝える
正式な異動願いの前に、上司との1on1や普段の雑談の中で「最近AIツールに興味があって、業務でも試している」と軽く伝えておく方法です。これは種をまく段階の動き方で、いきなり異動願いを出すよりハードルが低い分、時間がかかることもあります。ただ、上司の頭の中に「この人はAIに関心がある」という記憶を残せるのは、意外と効果が長続きすると感じています。
パターンC:社内公募・社内FAに正式に応募する
会社に社内公募制度があるなら、正式に応募するのが最も分かりやすい道です。ただこの場合、既にパターンAやBで動いていた人が有利になる傾向があります。独自ガイドの目安では、公募が出た瞬間に初めて動き出す人より、その前から実績や関心を見せていた人の方が選ばれやすいというのが、僕がこれまで見てきた実感です。
| 比較軸 | 社内異動 | 転職 |
|---|---|---|
| 業務理解の引き継ぎ | ほぼ不要(既に持っている) | 入社後に一定期間必要 |
| 評価が固まるまでの期間 | 独自ガイドの目安で半年〜1年 | 独自ガイドの目安で3か月〜半年 |
| ポジションの有無 | まだ公募されていないことが多い | 求人として明示されている |
| 失敗時の後戻り | 元の部署に戻れる可能性がある | 後戻りは難しい |
4. 手を挙げた後によくある失敗と対処
ここまで読んで「よし、動いてみよう」と思った方に、あらかじめ知っておいてほしい落とし穴もお伝えしておきます。僕がこれまで相談を受けた中で、実際によく起きていた失敗パターンです。
一つ目は、異動できたことに満足して、そこから先の学びを止めてしまうパターンです。異動直後は「AI活用担当になれた」という達成感が強く、そこで安心してしまう方が一定数います。しかし異動後の最初の3か月は、正直なところ、周囲からまだ実力を測られている段階です。独自ガイドの目安では、この期間に成果を焦って求めるより、社内の各部署の業務課題をヒアリングして回る方が、後々の評価につながりやすいと感じています。
二つ目は、元の部署の人間関係を軽視してしまうパターンです。AI活用担当は、社内の様々な部署を横断して協力を得る仕事です。異動前にいた部署との関係が悪いままだと、後になって協力を得づらくなることがあります。実際、ある中堅メーカーで管理部門からAI活用の専任ポジションに異動した方が、元の部署との関係を丁寧に保っていたおかげで、異動後すぐにその部署の業務データを使った実証プロジェクトを進めやすくなった、という話を聞いたことがあります。逆に、異動を「やっと抜け出せた」という気持ちで済ませてしまうと、後で協力を得にくくなる場面が出てきます。
三つ目は、ツールの使い方だけを勉強して、社内での説明の仕方を軽視してしまうパターンです。AI活用担当の仕事は、ツールを使えることより、使えない人にも分かるように説明し、納得してもらうことの方が比重が大きいと僕は感じています。独自ガイドの目安では、ツールの学習に使う時間と、社内向けの説明資料や勉強会の準備に使う時間は、半分半分くらいで考えておくのがちょうどいいと思っています。
5. 今日からできる5つのアクション
最後に、今日から動ける実務的なアクションを整理しておきます。抽象的な心構えより、まず手を動かすことが大事だと個人的には思っています。
- ①今の業務のうち、繰り返し作業や資料作成など「時間がかかっている作業」を1つ書き出す
- ②その作業に生成AIツールを実際に使ってみて、かかった時間の変化を記録する
- ③改善結果を1枚のスライドか簡単なメモにまとめておく
- ④次の1on1や雑談の場で、上司にその結果を軽く共有してみる
- ⑤社内で生成AI関連の説明会や勉強会があれば、まず参加者側として顔を出しておく
この5つは、どれも今日中に始められるものばかりです。特に①と②は、明日の業務の中でそのまま試せると思います。僕がこれまで見てきた中で、社内異動でAI活用担当にうまく移れた人は、例外なくこの「小さな実績を先に作る」というステップを踏んでいました。逆に、資格の勉強だけを先にして、実務での実績を作らなかった人は、公募のタイミングで思うように評価されなかった、という話も聞いています。
(結論)
社内異動でAI活用担当になる道は、転職市場に出てくる前の、いわば見えにくい椅子を取りに行くようなものだと僕は思っています。土台となるのは、資格でも学歴でもなく、今の業務をよく知っているという強みと、小さな実績を先に作っておくという地味な積み重ねです。IPAのDX白書が示すように、AI人材の不足感は今後もしばらく続くと考えられていますし、この状況は社内で動く人にとってはむしろチャンスだと個人的には感じています。皆さんいかがでしたでしょうか。今の会社の中にも、まだ見えていない道があるかもしれません。では今日もがんばりましょう。
よくある質問
Q. 未経験でも社内異動でAI活用担当になれますか
結論としては、なれる可能性は十分にあります。AI活用担当は専門プログラミングスキルより業務知識と巻き込み力が重視される職種で、社内異動であれば既存の業務理解という強みをそのまま持ち込めます。独自ガイドの目安では、異動前に自部門の業務で生成AIツールを実際に使い、小さな改善実績を1つ以上作っておくと評価されやすいと感じています。ゼロから資格を取るより先に手を動かす方が近道です。
Q. 社内異動でAI活用担当になるには何部署にいるのが有利ですか
結論としては、部署の有利不利より「業務を人に説明できる立場」にいるかどうかが重要です。企画・情シス・DX推進室あたりは公募が出やすい傾向がありますが、営業や管理部門からの異動例も少なくありません。独自ガイドの目安では、日々の業務でどこにムダや手間があるかを言語化できている人の方が、部署の種類に関わらず選ばれやすいと感じています。
Q. 上司に異動の意思をどう伝えればいいですか
結論としては、いきなり異動希望を伝えるより先に実績を見せる方が通りやすいです。独自ガイドの目安では、自分の業務でAIツールを試した結果を簡単な資料にまとめ、雑談や1on1のタイミングで「実はこんな効果が出た」と切り出す形が自然です。異動願いを正式に出すのはその後で十分だと考えています。
IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。